[第17巻第2号目次へ] Japanese/English

Full Text of this Article in Japanese PDF (260K)

論文名	新しい手続き記憶課題の開発とその学習過程の分析─認知リハビリテーションへの可能性─
論文言語	J
著者名	赤松　智子1）, 元村　直靖2）, 小堀　聡3）
所属	1）京都大学医療技術短期大学部作業療法学科 2）大阪教育大学健康科学専攻 3）龍谷大学理工学部
発行	神経心理学：17（2），139─146，2001
受付	2000年2月25日
受理	2000年11月15日
要旨	我々は，手続き記憶課題として，パーソナルコンピューターを用いた視覚運動追跡課題を新たに作成し，ヘルペス脳炎後の健忘患者1名と健常者（NC）40名に課題を実施し，学習過程を調べた．被験者には，コンピューター画面上に動く目標を，マウス操作により動くカーソルで追跡するように指示した．手順は，各課題を毎回3回ずつ繰り返し，連続する3日間と1週間後と，30日後にも長期に亘って施行した．課題は5種類あり，水平方向に動くガイド付きの課題A，水平方向に動くガイドなしの課題B，不規則に動く課題C，円周上を動くガイド付きの課題D，円周上を動くガイドなしの課題Eである．結果は，健忘患者とNCはともに，課題間において異なる傾向をもつ明らかな学習効果を示していた．特に，健忘患者における学習効果は，これらの視覚運動追跡課題が，手続き記憶の評価に利用できる可能性を示唆していた．さらに，視覚的ガイドの重要性を指摘し，健忘患者の認知リハビリテーションへの可能性を示した．
Keywords	手続き記憶, 知覚運動技能, 追跡課題, 認知リハビリテーション, 健忘症
別刷請求先	〒606-8507　京都市左京区聖護院川原町53　京都大学医療技術短期大学部作業療法学科　赤松智子