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論文名 左半球AVM患者における各半球の線画判断処理メカニズム
論文言語 J
著者名 仁木 千晴, 大東 祥孝
所属 京都大学大学院人間・環境学研究科
発行 神経心理学:19(4),190─199,2003
受付 2003年7月25日
受理 2003年9月10日
要旨 左側頭葉AVM摘出術施行後,ウェルニッケ失語を呈している患者一例に対し,左右半球における線画判断過程について調べるため,線画刺激が意味のあるものか否かを判断する線画判断の半球優位性,およびプライムとターゲットともに線画を用いた意味プライミング効果の半球優位性を調べた.その結果,本例では健常者と同様の線画判断の右視野優位性はみられず,逆に左視野優位が示され,本例における左半球の線画処理が健常者とは異なっていることが示された.さらに,意味プライミングの半球優位性を調べた実験2においては,先行研究において健常者で観察された右半球内の意味プライミング効果が観察され,さらに,健常者では観察されなかった左半球内の意味プライミング効果もみられた.右半球内の意味プライミング効果については,非言語的刺激の同定に必要な視覚的属性を反映した機構を反映していると考えられ,左半球内の意味プライミング効果については,健常者では抑制される意味的活性化が本例においては抑制されず,結果として脱抑制的な活性化を反映している可能性,および回復過程における右半球からの影響による意味記憶の変容といった可能性が考えられた.
Keywords 意味記憶, 意味プライミング効果, 半球優位性
別刷請求先 〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学留学生センター内大東研究室 仁木千晴


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