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論文名 |
脳―身体―環境のダイナミックインタラクション |
論文言語 |
J |
著者名 |
乾 敏郎 |
所属 |
京都大学大学院情報学研究科 |
発行 |
神経心理学:20(1),32─38,2004 |
受付 |
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受理 |
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要旨 |
われわれは環境に対して,あるいは環境から得られる情報に対して,さまざまな操作を精緻にかつ円滑に行っている.このとき,避けられない問題が二つある.それは,問題の不良設定性と、ニューロン間の信号伝達によって生じる遅延時間の克服である.脳はこの2つの問題を,主に2つの方法で解いていると考えられる.第一は,われわれが1990年に提案した順逆変換である(川人・乾,1990).第二は予測的処理である.予測的処理や予測的制御がうまくはたらくのは,環境や身体からのフィードバックと予測した状態とが一致するときである.このことから,フィードバックには視覚情報だけでなく,触覚を含む体性感覚が重要である.また予測的処理は,統合失調症における機能的結合異常とも関連した重要な機能である.最後に,人間の脳では順逆変換と予測的処理とが巧みに行われることで認知や運動がいかに実現されているかを実験的,理論的に検討する. |
Keywords |
順逆変換, 予測的処理, 遅延時間, 不良設定性, 統合失調症 |
別刷請求先 |
〒606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科 乾 敏郎 |
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