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論文名 |
行動面から |
論文言語 |
J |
著者名 |
森 悦朗 |
所属 |
神戸学院大学人文学部人間行動学科(現 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学) |
発行 |
神経心理学:20(1),39─43,2004 |
受付 |
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受理 |
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要旨 |
ヒトは仕組まれた行動様式,例えば類人猿やヒトの発達過程でみられる模倣や探索的行動,あるいは成人でもみられる惰性,常同的反復,を抑制できる.そのような行動様式から解放され,環境に対する自由,柔軟,多様な応答できることが人間らしさである.そのような抑制機構は前頭葉に形成されるが,前頭葉が損傷されると,そこに形成された抑制機構が働かなくなり,生来的な行動様式が容易に出現するようになる.模倣傾向は,反響行為や模倣行動として現れ,探索傾向は,本能的把握反応,道具の強迫的使用,利用行動となって出現する.刺激依存的に開始される画一的な行動,さらにその反復は,環境に対する効率的な応答様式であり,おそらくは生来的に神経系に組み込まれているもののようだが,これが障害されると,病的惰性,環境依存症候群,さらに常同,滞続となると考えられ,抑制の神経機構が障害されたときの像である.ヒトの行動の神経機構を考える上では,環境からの刺激の受容・認知のみならず,環境との関係においてどのように行動の制御が行われるのかを解明することが必要だと考えられる. |
Keywords |
前頭葉, 常同行動, 模倣行動, 病的把握, 病的惰性 |
別刷請求先 |
〒980-8575 仙台市青葉区星陵町2-1 東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学 森 悦朗 |
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