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論文名 右脳梁膨大部後部障害による道順障害の視空間情報記憶に関する検討
論文言語 J
著者名 黒木 洋美, 川平 和美, 緒方 敦子, 川津 学, 田中 信行
所属 鹿児島大学病院リハビリテーション科
発行 神経心理学:20(3),177─184,2004
受付 2003年4月8日
受理 2004年5月24日
要旨 右側の後頭葉及び脳梁膨大部後部梗塞を有する両手利きの62歳男性に見られた道順障害の発症機序について検討した.左同名半盲と中程度の視覚性及び言語性の記憶障害があったが,言語性記憶は次第に回復した.左半側空間無視はなく,場所や建物等に対する認知は保たれ街並失認はなかった.しかし,自宅や病院の見取り図や部屋の物品配置の想起や描画再生が出来ず,左半側空間無視の患者と比較しても,“何処にあったか”の空間視の記憶低下が顕著であった.本症例の道順障害の機序として,頭頂葉で処理された空間視情報を右海馬に伝える右脳梁膨大部後部の損傷が重要であると考えられた.言語性記憶改善の機序としては,両手利きに伴う左海馬への経路が働き始めたためと考えられた.
Keywords 道順障害, 脳梁膨大部後部障害, 視空間記憶, 視覚情報処理, 海馬
別刷請求先 〒899-6603 鹿児島県牧園町高千穂3930-7 鹿児島大学病院附属霧島リハビリテーションセンター 黒木洋美


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