学会誌

書誌情報

Full Text of this Article
in Japanese PDF (57K)
論文名 痴呆の行動・心理症状(BPSD)に対する治療法
論文言語 J
著者名 中村 重信
所属 洛和会 京都臨床治験センター
発行 神経心理学:21(2),116─122,2005
受付
受理
要旨 痴呆症患者を治療,ケアする場合,介護者を困らせる症状は痴呆の行動・心理症状(BPSD)である.しかし,BPSDに対する治療法についての十分な検討はされているとはいえない.今回,BPSDの治療法に対する戦略をまとめたので,報告する.BPSDは痴呆患者の認知機能障害に伴って出現することが多い.その点は統合失調症とは異なるので,最初,認知機能の改善を試みることが大切である.その際,対象が高齢者であるため,薬物の副作用が現れやすいため,非薬物療法(ケア)から始めるのが適当である.次に,アルツハイマー病やレビー小体型痴呆患者では認知機能の改善を目的として,保険適用のあるドネペジルで治療することが勧められる.それでも,BPSDが強い場合には,クエチアピンなどの非定型的神経遮断薬を使用することが勧められる.抑うつ症状のある場合には,トラゾドンなどのセロトニン再取り込み阻害薬が,錐体外路症状がある場合には抗パーキンソン病薬が勧められる.
Keywords 痴呆の行動・心理症状, 非薬物療法(ケア), ドネペジル, 非定型的神経遮断薬
別刷請求先 〒607-8062 京都市山科区音羽珍事町2 洛和会 京都臨床治験センター 中村重信


Copyright © 2002 日本神経心理学会 All rights reserved
http://www.neuropsychology.gr.jp/