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論文名	右半球損傷による失文法の1症例─語彙，構文表出課題による障害構造の検討─
論文言語	J
著者名	福永　真哉1）, 服部　文忠2）, 田川　皓一3）, 平田　幸一4）
所属	1）長尾病院言語療法科・獨協医科大学神経内科 2）長尾病院内科 3）原土井病院（附）福岡高次脳機能障害センター 4）獨協医科大学神経内科
発行	神経心理学：21（2），132─138，2005
受付	2004年7月15日
受理	2004年11月1日
要旨	右半球損傷により左半側空間無視と失文法を呈した，家族に左利き素因を有する66歳右利き男性の症例を経験した．本症例は，名詞と動詞の語彙的側面の表出能力は保たれていたが，構文表出課題の口頭表出において，助詞の省略が顕著な失文法を認め，書字表出でも口頭表出より軽度であるが失文法を認めた．誤反応は口頭表出において助詞の省略が多く，書字表出では省略とともに置換や動詞の名詞化を認めた．本症例は右利きであるが家族に左利きの素因があり，右半球の広範な病巣で失文法が出現したことから，言語機能の半球側性化に異常のある症例と考えられた．この失文法の障害機序は，広範な右半球損傷により，右半球に存在する文法機能が障害され，左半球の保たれている音韻，語彙機能と解離したため，出現したと考えられた．また，失文法は口頭表出より書字表出において軽度であり，その原因として右半球症状の関与が示唆された．
Keywords	失文法, 言語の側性化, 文法機能, 音韻機能, 語彙機能
別刷請求先	〒814-0153　福岡県福岡市城南区樋井川3-47-1　長尾病院言語療法科　福永真哉