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論文名 |
同時発話(syllalia)について |
論文言語 |
J |
著者名 |
波多野 和夫1), 東川 麻里2) |
所属 |
1)滋賀県立精神保健総合センター
2)永生病院リハビリテーションセンター言語聴覚科 |
発行 |
神経心理学:21(4),235─242,2005 |
受付 |
2004年4月30日 |
受理 |
2005年2月21日 |
要旨 |
同時発話(syllalia)を呈した脳血管障害による失語5例を報告しその出現の様相を考察した.同時発話とは,全失語の患者が検者の発話に合わせて,これと同じことを同時に発話する傾向である.同時に発話できたからといって,次に同じ言葉を単独で発話するように要求しても不可能である.全失語は左半球の言語領域の全面的な壊滅に対応し,意図的・知性的・命題的言語の消失を意味する.同時発話はこのような全失語を背景に出現する自動的発話の一種であり,反響言語,補完現象などとも密接な関連がある.同時発話の出現要因として,模倣傾向,予測可能性,原初的な統辞的構造性,情動の支持などを挙げ,それぞれの意味を考察した.意図的・知性的・命題的言語の崩壊という全失語の状態を,そのような言語の成立以前の発達段階と比較するという視点を通じて,同時発話の有する発達学的な意味についても指摘した. |
Keywords |
同時発話, 反響言語, 共鳴動作, 自動的発話, 全失語 |
別刷請求先 |
〒525-0072 滋賀県草津市笠山八丁目4番25号 滋賀県立精神保健総合センター 波多野和夫 |
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