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論文名 痴呆を伴う筋萎縮性側索硬化症の病理
論文言語 J
著者名 中野 今治
所属 自治医科大学神経内科
発行 神経心理学:22(3),171─177,2006
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要旨 痴呆を伴う筋萎縮性側索硬化症患者は,性格変化・異常言動などの精神症状を呈する.精神症状が運動ニューロン症候に先行する場合が多い.生命予後は下位運動ニューロン症候の出現に懸かっている.神経病理学的には,大脳皮質病変と運動ニューロン病変に大別できる.前者は通常側頭葉に優位であり,側頭葉極内側皮質,海馬足CA1―支脚,迂回回,扁桃核に変性が高頻度に見られる.これのみでは痴呆を説明するのは困難であるが,この病変が大脳病変の初発部位である可能性がある.海馬歯状回顆粒細胞や海馬傍回等の小ニューロンにubiquitin陽性封入体が出現する.黒質にも高頻度に変性が見られる.運動ニューロン病変は古典型ALSと酷似しているが,Bunina小体が目立ち,上位運動ニューロン障害が軽い傾向を示す.最近は上位運動ニューロン障害が優位のALSDも報告され,さらには下位運動ニューロン障害もBunina小体も認められないもののALSDと酷似した大脳病変を示す上位運動ニューロン障害優位の症例群も報告されている.
Keywords 痴呆を伴う筋萎縮性側索硬化症, 神経病理, 側頭葉病変, CA1―支脚移行部病変, ユビキチン化封入体
別刷請求先 〒329-0498 河内郡南河内町薬師寺3311-1 自治医大神経内科 中野今治 inakano@ms2.jichi.ac.jp


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