論文名 |
初老期発症で極めて緩徐な進行を呈するAlzheimer病同胞例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
北出 佳美1), 佐藤 厚2), 今村 徹1)3) |
所属 |
1)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
2)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
3)同 神経内科 |
発行 |
神経心理学:22(4),260─268,2006 |
受付 |
2005年10月24日 |
受理 |
2006年5月8日 |
要旨 |
ともに50歳台発症であるが,極めて緩徐に進行するAlzheimer病(Alzheimer's disease:AD)の同胞2例を報告した.症例1は67歳女性.54歳頃に物忘れで発症し緩徐に進行.頭部MRIでは側頭葉内側面に高度の萎縮が認められた.Apolipoprotein E(ApoE)phenotypeはE3/E3であった.神経心理学的検査ではMMSEは17点,ADASは減点23/70で,近時記憶障害,見当識障害,注意障害,構成障害,保続が認められた.日常生活上でも,近時記憶障害は重度であったが,グループホームで生活し,指示誘導の元に家事レベルの活動を行なうことも可能であった.症例2は73歳女性.症例1の姉.56歳頃に物忘れで発症し緩徐に進行.頭部MRIでは側頭葉内側面に高度の萎縮が認められた.ApoE phenotypeはE3/E3であった.神経心理学的検査ではMMSEは14点,ADASは減点31/70で,近時記憶障害,見当識障害,注意障害,構成障害,遂行機能障害が認められた.2症例とも病歴と諸検査所見からADと診断したが,発症年齢が50歳台の家族例であるにも関わらず,極めて緩徐な経過をたどっている点は,既知の遺伝子異常による初老期発症の家族性ADとは大きく異なっていた. |
Keywords |
家族性Alzheimer病, 初老期発症, 臨床経過, 遺伝子異常 |
別刷請求先 |
〒950-3198 新潟市島見町1398番地 新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科 今村 徹
imamura@nuhw.ac.jp |