論文名 |
Self-care rating for dementia(SCR-D):アルツハイマー病におけるADL上の遂行機能障害のための簡易な評価尺度 |
論文言語 |
J |
著者名 |
舘川 歩美1)4), 今村 徹1)2), 佐藤 厚3) |
所属 |
1)新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野
2)新潟リハビリテーション病院神経内科
3)同 リハビリテーション部言語聴覚科
4)現 介護老人保健施設尾山愛広苑 |
発行 |
神経心理学:24(3),242─251,2008 |
受付 |
2007年9月18日 |
受理 |
2008年4月22日 |
要旨 |
現在Alzheimer's disease(AD)患者においてADL上の遂行機能障害についての検討はほとんどない.本研究では基本的ADL(basic ADL)における遂行機能障害のための尺度である痴呆患者のためのセルフケア評価尺度(Self-care rating for dementia:SCR-D)を作成,検討した.SCR-Dでは,移動・移乗を除くセルフケア(更衣,整容,摂食,排泄)について,個別のセルフケアおよび複数のセルフケアの選択と移行における障害に着目し,障害全般を主介護者への半構造化インタビューをもとに,0.自立,1.開始に激励が必要,2.適宜指示誘導が必要,3.一段階ずつの指示誘導が必要,4.一段階ずつの指示誘導と適宜動作介助が必要,5.一段階ずつの動作介助が必要,の6段階に評定した.インタビューは主介護者に対し,個別のセルフケア活動,複数のセルフケアの選択,およびあるセルフケア活動から次のセルフケア活動への移行において,実用的なセルフケア活動を完了するためにどの程度の指示や誘導が必要か,個別の動作に介助が必要か,などを着目させて行った.認知機能障害の重症度の影響を除外するため,症例をMMSE得点上位群と下位群に二分し,Spearmanの順位相関係数を用いて検討した.結果,MMSE上位群ではSCR-Dと遂行機能障害の指標であるAlzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)の観念運動課題および見当識課題との間に有意な相関が見られ,下位群ではSCR-Dと年齢およびDysexecutive Questionnaire for dementia(DEX-D)との間に有意な相関が見られた.SCR-Dが遂行機能障害の各指標と相関した事より,SCR-DがADL上の遂行機能障害の評価法として一定の妥当性がある事が示された.今後,SCR-Dの再評価信頼性や評価者間信頼性,AD以外の痴呆性疾患への適応,個別のセルフケア活動へのSCR-D尺度の適応,などを検討する必要がある. |
Keywords |
アルツハイマー病(AD), 遂行機能障害, ADL尺度, BADL, DEX-D |
別刷請求先 |
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