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論文名 十進法の使用に障害を呈したくも膜下出血後脳梗塞の1例
論文言語 J
著者名 永友 真紀1), 三浦 真弓1), 松永 薫2)
所属 1)熊本機能病院言語聴覚療法課
2)同 神経内科
発行 神経心理学:25(3),211─220,2009
受付 2007年3月5日
受理 2008年12月18日
要旨 くも膜下出血後の両側前頭葉梗塞に伴い数処理に障害を呈した41歳,両手利きの女性を経験した.本例は繰り上がりのない加算,繰り下がりのない減算,掛け算表の想起や利用に問題はなく数学の要素的事実は保たれていた.数の書き取りには若干誤りが見られたが,数の音読,聴覚的提示による数字の選択は正常で信号変換もほぼ保たれていた.数学の概念については,1~9までの数の意味,事典的な数の知識,演算記号の意味は保たれていたが,数の分解,合成,桁合わせ,十進法に関する質問の答えに著しい異常がみられた.本例の数処理障害には,“底の原理”と“位取り”との組み合わせからなる十進位取り記数法の使用障害が関与していると考えられた.
Keywords 失算, 十進位取り記数法, working memory, 両側前頭葉梗塞, 両手利き
別刷請求先 〒860-8518 熊本県熊本市山室6-8-1 熊本機能病院総合リハビリテーション部言語聴覚療法課 永友真紀


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