[第25巻第3号目次へ] Japanese/English

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論文名	遷延型保続を呈した前頭葉損傷による超皮質性感覚失語の1例
論文言語	J
著者名	田村　至1）3）, 大槻　美佳1）, 中川　賀嗣2）, 森若　文雄1）, 田代　邦雄3）
所属	1）北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科 2）同　看護福祉学部医療福祉学科 3）北祐会神経内科病院
発行	神経心理学：25（3），228─236，2009
受付	2008年12月22日
受理	2009年3月26日
要旨	左前頭葉損傷による超皮質性感覚失語症例を報告した．症例は，66歳右利き女性．病巣は左下前頭回から中前頭回後部皮質および皮質下．発話は流暢で構音の歪み，音韻性錯語，同語反復，失文法は認められず，復唱は良好．単語レベルからの聴理解障害，喚語困難，語性錯語および一旦出現した語性錯語の顕著な遷延型保続を呈した．さらにワーキングメモリー，遂行機能の障害が認められた．本症例の意味的・音韻的関連のない遷延型保続は，前頭葉損傷による構えの保続に起因し，賦活の残存と同時に目標意味野へのアクセスの障害が推測できる．本症例の保続症状より，語性錯語と遷延型保続の近接性および意味野の選択など前頭葉機能と喚語の関連が示唆された．
Keywords	超皮質性感覚失語, 前頭葉損傷, 遷延型保続, 構えの保続, 無関連錯語
別刷請求先	〒002-8072　札幌市北区あいの里2条5丁目　北海道医療大学心理科学部言語聴覚療法学科　田村　至 tamurait@hoku-iryo-u.ac.jp