論文名 |
Albert教授との対話(2)―“Gogi-aphasia”をめぐって― |
論文言語 |
J |
著者名 |
小森 憲治郎 |
所属 |
愛媛大学大学院医学系研究科 脳とこころの医学 |
発行 |
神経心理学:25(4),269─273,2009 |
受付 |
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受理 |
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要旨 |
音韻や文法機能が保たれる一方で,語の産生ならびに理解障害を特徴とする語義失語(井村,1943)の新たな枠組みは,側頭葉限局性萎縮に伴うsemantic dementia(SD)の症候としての位置づけである.今回の講演でAlbert M.は,意味性認知症の言語症状は語義失語であると述べた.また語義失語の神経基盤が左側頭葉前方部にあるという仮説を裏付けるには,左側頭葉前方部に一側性の脳血管病巣をもつ語義失語例の存在が必要であるとコメントした.同部位が語の意味記憶の基盤であると主張する田辺ら(1992)の根拠は,ともに語義失語を呈した左側頭葉優位のSD例と左側頭葉前方に病巣をもつヘルペス脳炎例の詳細な臨床観察に基づくものと考えられる(Tanabe et al,1996).ただし,双方における語義失語の現れ方の違いも重要で,臨床症状と解剖学的な対応関係の理解には,疾患による意味記憶システムへの侵襲の違いに考慮し,慎重な判断が必要であろう. |
Keywords |
語義失語, 意味性認知症, ヘルペス脳炎, 左側頭葉前方部 |
別刷請求先 |
〒791-0295 愛媛県東温市志津川 愛媛大学大学院医学系研究科 脳とこころの医学 小森憲治郎
kkomori@m.ehime-u.ac.jp |